──────────────────────────────────── | 知恵市場 ☆ 2001.04.30 | g - e s s e n c e | エッセンス ☆ 合計発行部数 670部 | | ES1075 ☆ (B-mail=89:Nifty=581) | | ¥200 ☆ http://chieichiba.net/ | ──────────────────────────────────── g-essence 075 リサイクルと生態系 ──────────────────────────────────── ■アンケートの定量的な結果 ■消費は過剰ではない? c o n t e n t s ■ビジネスの最適化とリサイクル ■生態系の多様性とリサイクル ■part2 バリ島アマン・リゾートにマネジメントを見 に行く ──────────────────────────────────── text by paco/渡辺パコ ──────────────────────────────────── こんにちは。ゴールデンウィークまっただ中ですね。ここ六兼屋@八ヶ岳も、二 人の友人をゲストに迎えて、にぎやかです。今日は久しぶりに本格的に雨になっ たので、緑がたっぷり濃くなり、空気リッチな感じになってきました。みなさん はどんな休日を過ごしているのでしょうか。 さて今回のエッセンスは、「当番」のToshiが休暇のため、変則的な編集です。 前半は、前回のエッセンス「大量消費と環境問題」のアンケート結果と、それに ついてのpacoの意見をまとめます。後半は、Toshiがバカンスにたびたつ前に成田 から送ってくれた、短い示唆をお届けします。 ──────────────────────────────────── ■アンケートの定量的な結果 ──────────────────────────────────── さて前回のエッセンスではアンケートを行いました。総回答数は14で、回答率は 2%程度でした。数は少なかったですが、多くの方が自由回答欄にたっぷりとコ メントしてくれて、関心の高さを感じました。 先に、選択式の回答の結果を。 □Q1「不便な生活」はたのしく、豊かだというメッセージについて、あなたはど う感じますか? 肯定した人が28% 否定的な人が72% □Q2 あなたは「不便な生活」を実践できそうですか? 著者が実践したことの一 部、あるいは別の不便でもかまいません。 実践は難しいと考える人81% 実践している人が21% □Q4 あなたはモノに充足していますか? モノに充足し、必要なもの以外は買わない人が65% もっとモノがほしいと思っている人が35% □Q5 あなたは自分が広告に踊らされ、ついいらないものを買ってしまう、消費中 毒だという自覚がありますか? 消費中毒ではないと答えた人が64% 多少なりとも自覚がある人36% □Q6 あなたは、情報が目的なのに、その情報を示す「モノ」を買ってしまうとい う消費の構造について、理解し、同意できますか? それともやはりモノはモ ノ自身が目的で買っていると考えますか? 情報を買っていると思う人57% モノを買っていると思う人43% □Q7 あなたが「やめられる」と思ったこと、もしくは著者がやめた(1)〜(14)は、 もしみながそれを実践するれば、環境はもちろん、個人、産業にとっていい社 会になると思いますか? そう思わない人72% 理想的だと思う人28% どうでしたか? あなたの感想と一致していた? 予想外でしたか? 多数派になっている意見をまとめると、 不便な生活が「豊かになりうる」ことはわかる しかし便利な生活への願いは捨てられないし捨てるのがいいとはいえない ましてみんなが実践することがいいとは言い切れない という理解をしています。さらに、「たのしい不便」で繰り返し述べられている 「消費中毒」については、 消費はしているが、中毒ではないし、必要だから買っている と感じている人が多いこともわかりました。 ──────────────────────────────────── ■消費は過剰ではない? ──────────────────────────────────── 僕らは確かに無駄なモノを買っています。著者が指摘している自動販売機の缶 飲料は、確かに飲まずにすむ場合も多いでしょう。缶飲料を買う代わりに、家か ら、あいたペットボトルにお茶を入れて持っていくこともできます。 実際僕は、夏場はマイボトルに麦茶を入れて持ち歩くこともあります。しかし、 お茶を入れるためにバッグが重いだけでなく、夏場は炎天下でお茶がぬるくなり、 また家庭で作ったものだと最近の発生なども、心配です。実際「たのしい不便」 の著者も、自家製マヨネーズを、衛生上の理由で夏場はやめてしまいました。 著者は、米を作り、天日乾燥を試みていますが、このときも雨に降られ、他の人 に半ば強引に手伝ってもらいながら、雨を避けて脱穀するなど、並々ならぬ労力 をかけています。そのエピソードのなかで、「トラクターや機械乾燥設備を農家 が導入する理由はよくわかる。お金にすることを目的に米を作っている以上、収 穫後の雨で半年間の米作りの苦労がパーになってしまうようなリスクをとてもか けられない」というわけです。 確かに機械で温風乾燥するより、天日干しの方が、環境面でも味の面でも、いい のは間違いないでしょう。年に1回しか使わないこうかな農業機械を買うことに 批判的な意見をあるのもわからないではないですが、せっかくの収穫が全滅する のリスクを負いながら、雨の季節に天日乾燥を求めることは、やはりいまの社会 のなかでは無理があります。 アンケートでも、無駄な消費はしていないという意見が多かったことから考えて も、僕はいまの社会を消費過剰社会だと考えるのは、適切ではないのではないか と感じています。確かに「便利」を上げるという理由のために消費されるモノは たくさんありますが、ここの人がそれを買うシーンを考えると、ムダを承知で買 うということは、いわれているほど多くないと感じます。 「買ったはいいけど結局ほとんど使わなかった」という経験はだれにでもあり、 これは一見「無駄な消費」のように見えますが、いまの消費システムでは、「使 ってみてからやめる」という行動はやりにくいため、どうしても結果的に使わな いというモノがでてしまうのです。 しかしだからといって、著者が指摘しているように、「消費中毒になっていて、 それにさえ気づかない」ことが、過剰消費の理由であるのではないと思います。 むしろ問題なのは、結果的に買わずに(消費せずに)すんだモノを買ってしまっ ていることが意外に多い」という点に、実は最大の問題があるのではないかと考 えるようになりました。 ──────────────────────────────────── ■ビジネスの最適化とリサイクル ──────────────────────────────────── もし、消費のニーズそのものが、今回のアンケートのように「必要と思うから」 「便利になりそうだから」買うとしたら、そしてそれにもか関わらず実際には、 便利にならず、必要でもなかったモノが多いなら、「ほしい」という動機と、実 際の商品やサービスの提供の形態の方に間違いがあり、個人が「ほしい」と思う 意欲そのものが否定されるべきではないのではないかと思うのです。 一例としてあげると、整髪料は、20年ぐらい前から、ポマード→トニック→ムー ス→ミスト→ジェル→ワックスというように、さまざまな商品が次々開発されて はすたれていきました。こういう商品アイテムだけでなく、香料のあるなし、整 髪力の強弱、香料の有無など、さまざまなオプションの組み合わせて、膨大な種 類の商品が生まれています。 整髪料で髪のおしゃれをしたいという希望は、太古の昔から人間はずっと持ち続 けてきた、いわば文化であり、本能でもあるでしょう。つまり、整髪料という商 品の存在自体を否定することはできないと考えるべきなのです。しかし、そうは いっても、商品の流行や、買った人間の不注意などで、中身がまだたくさんある のに捨てられてしまう整髪料は多く、これが燃えないゴミとして埋め立て地に集 積されているというのも、問題です。 ここでもう一歩踏み込んで考えてみましょう。 確かに使い切らない整髪料を捨ててしまうのは無駄な消費ですが、その全面的な 否定は、文化の否定につながります。そこで、整髪料売り場で試供品を配るか、 あるいは一ビン100円でサンプルをもらえたらどうでしょうか? それでもサンプ ル便の廃棄はなくならないでしょうが、新品の大きなパッケージの廃棄よりは、 ずっと負荷が軽いはずです。 またリサイクルを活発にして、買ったけれど使わないものを社会に貫流させるこ とも、廃棄物や必要以上の生産を実現させるはずです。 つまり、大量消費社会を変化させるためには、消費をやめるという方法では意味 がなく、大量消費の動機を満たしつつ、「つかわないもの」を社会で貫流するし くみ(リサイクル)を精度よく行うことが、実は、「大量消費はだめ」という以 上に、意味があることなのではないかと思います。 ──────────────────────────────────── ■生態系の多様性とリサイクル ──────────────────────────────────── 自然は、実は非常に雑多で、多様です。自然の循環そのものは、ムダがないよう に見えますが、もし自然が本当に無駄なく動くシステムなら、自然はむしろ何も かもが固定化し、変化せず、いわば月面のような環境を作り出すはずです。 月面では、空気も動かず、植物も咲かず、多様な昆虫や生き物もよってこない。 無駄な動きはいっさい内世界です。 しかし人間が考える自然は、月面のような動かない自然ではなく、むしろ徹底的 に動く自然です。生命は多様であるほど豊かで、生命が相互に利用しあう循環は、 複雑で多彩であるほどと、「自然」なのです。 自然は、たとえば無駄な生産を、そのメカニズムのなかに組み込んであります。 たとえば魚類は1匹のイワシが数千匹の稚魚を生むように、本来必要な生産を越え て過剰に生み出します。しかしイワシが環境破壊を起こさないのは、その過剰な 稚魚を、ほかの魚が生きるために利用しているからです。 もし人間の産業社会が自然をモデルにするなら、無駄な生産や消費をやめるので はなく、ムダに見える生産が、他の人の活動を支援するような産業になれば、い いということができるのではないか、と考えます。 つまり、徹底的なリサイクルさえ行われれば、文明は「ものがほしい」という欲 望を満たしつつ、豊かさを生み出し、持続可能になることも無理ではない。 その場合、どうしても避けて通れないのはエネルギーの問題でしょう。いまのよ うに石油中心のエネルギーでは、リサイクルするたびに地殻から石油を取り出し、 CO2として大気中に放出してしまいます。これでは大気中の炭素が増えすぎて、温 暖化の問題がでてきてしまいます。 もし、徹底的なリサイクル型の産業になり、そのためのエネルギーが地殻由来の ものでないなら、リサイクル型の産業システムは、ムダが多い産業構造でもぜん ぜんかまわない、という、一見矛盾したいいかもできてしまうのです。 もちろん、こういった考え方が、適切なのかどうか、僕にはまだわかりません。 あくまで現段階での仮説です。 しかし、僕がいま感じるのは、人間の本姓として、「便利」に生活したいという のは消しがたくあり、いまの消費社会はその欲望を満たしているからこそ、これ だけの支持を受けてきたのではないかという仮説です。 風力発電のような自然エネルギー(地殻から資源を掘り起こさないですむエネル ギー装置)が十分需要を満たせば、人間は、豊かさと利便性、気持ちのよい自然 環境のすべてを満たして生活することも、不可能ではないのではないか? とそ こまで考えるのは、いささか飛躍しすぎかもしれませんが、環境問題を「不便な 生活に戻る」という切り口から考えるのは、少なくとも今の段階では無理がある ような気がします。 さて、次回は、生協事業連合会への、リサイクル関係の取材をまとめたエッセン スをお届けします。 2001.4.15 paco/渡辺パコ paco@suizockanbunko.com ──────────────────────────────────── ■part2 バリ島アマン・リゾートに、マネジメントを見に行く text by Toshi/高橋俊之 ──────────────────────────────────── GWですねえ。ご予定は? 僕は今日からバリに行きます。あちこちで話題にな るので一度行ってみたいと思っていたアマン・リゾーツの一つ、アマンキラに。 話題になるだけあって高いんですが、行ってきた人が一様にそれだけの価値はあ ると言うので、人が「はまってしまう」ほどのサービスとはどんなものかを見て こようと行ってみることにしました。 しかし、たった35室しかない(まあインドネシアにアマン・リゾーツは5カ所 あるのですが)ホテルがどうして世界的にこれだけ評判になれるのか、考えてみ ると興味深い。商品そのものがよいことが口コミという低コストだが強力なマー ケティングを生み出し、すごく宣伝しているわけでもないのに評判を築き上げて いる・・ということなんだと思いますが、しかし、「バリに行く」と言わずに 「アマンに行く」と言わせてしまうのはすごい・・・。これは他のビジネスでも 応用できるかも知れません。 ところで、このような評判を確立したメリットはマーケティングだけではないと 思います。たとえば人の採用においても有利に働くでしょう。「ホスピタリティ で世界的に有名なリゾート」であることは応募する人もきっとわかっているでしょ う。すると、そういうところで働きたいと思っている人がたくさん来るはず。そ して採用された人は、厳しいトレーニングを行ったとしても「これが自分を一流 にするのね」と厳しさをなんとも思わないか、むしろうれしく思うでしょう。ま た仕事をしながら、「自分は世界一流のホスピタリティを提供するメンバーなの だ」というプライドを持って取り組むのでは。 つまり、この仕事に向いている人が大勢応募する中で、特に優れた人を雇うこと ができ、かつ彼らが非常に高いやる気を持って仕事をするだろうと。それがまた ゲストに評価され、その評判を聞いて働いている人はますますやる気になる・・ このような好循環が働く、というのは日本にいて勝手に想像したところですが、 さて実際はどうなのかな? でも、「世界最高のリゾートなんだろ!」と横柄な態度をとるゲストが結構いる とどうなんでしょうか。たとえば飛行機のファーストクラスには残念ながらそう いう客も少なくないと時々聞きます。おそらくそういう人もいることでしょう。 その際の対応についてはまた彼らは考え抜いていることと思います(本当にそう なのか試してみる勇気は自分にはありませんが(^_^))。 そして一方で、一流のところに来たのだから一流の振る舞いをしないと、という ゲストも多いのでは、と思います。こういう人たちはサービスしていても気持ち がよいしやりやすい(グロービスの受講生も礼儀正しく思慮深い人が多いので同 じことをよく感じます)。差し引きするとどちらのタイプのゲストが多いでしょ うか。おそらく場にふさわしい人の方が多いように思います。 そうなると、サービスを提供する側としてやりやすいだけでなく、このゲスト達 がまたその場によい雰囲気をつくりだす、つまり商品の一部を構成するようにな ります。さて、この推測は正しいのか、これを確かめるのも楽しみ(^_^)。 今 回はもちろん遊びに行くんですが、そういうビジネスの観点でもナマを見られる のを楽しみにしています。 しかしそれにしても、やはりGWは混んでいて大変ですね。今回、動き出したの が遅かったこともあって、アマンも飛行機もキャンセル待ちで、取れたのはかな り間近になってからでした。この原稿は空港に向かうスカイライナーの中で書き 始めたのですが、席は満席。今は空港のレストランで仕上げていますが、チェッ クインのカウンターも混んでいました。おそらく出国ゲートもかなり混んでいる んだろうなあ。うーん・・この状況、なんとかならないのか。 遊びに行けるだけいいじゃん、という説もありますが、普通の日にまとまった休 みを取れればもっと快適になるはず。サービス提供者側も今のピーク時のような 処理能力を持たなくてよくなるので、コストダウンができる。そんな時代が今す ぐ来るとは思えないけど、少しずつ時代をそういう方向に動かしてやりたい、と 思うのでした。 では、行ってきます。 2001.4.30 知恵市場 DJ Toshi/高橋俊之 tosh@chieichiba.net ──────────────────────────────────── ●エッセンスの転載については、知恵市場までお問い合わせください。 paco@suizockanbunko.com 知人(個人)へのエッセンスの紹介を目的としての転載は、1号限り、全文を 送っていただく場合に限り、特にこちらに許可を取らずに行ってかまいませ ん。ただし登録せずに受け取った人がさらに別の人に送ることは認めません。 ──────────────────────────────────── end of Chieichiba Essence (c)Chieichiba & Suizockanbunko inc. 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