●ワハハ・エコロジー入門
どこから手をつけていいか分らない感もある環境問題ですが、ゲスト・渡辺パコさんが分りやすくお届けします。
■環境問題って何? 地球温暖化問題を中心に
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----------------------------------------------------------------------○ さて今回はゲストライターに、環境問題に詳しい渡辺パコさんをお迎えしてトピッ クスをお届けします。どこから手をつけていいか分らない感もある環境問題です が、何が問題なのか?そして私たちの日常生活の中でなにから実践できるのか? など、環境問題への取り組みまで分りやすくお届けします。 またこのトピックスは、引き続き、新メーリングリストにて、パコさんを交えて お話を続けます。登録はこちらで! http://chieichiba.net/wahaha/ml.htm ----------------------------------------------- □C O N T E N T S ■地球温暖化問題ってなんだろう? ■温暖化すると、どうなるんだろう? ■本当に数10年〜100年で、それほどの大変化がおきるの? ■CO2排出の原因の一つが、電力消費 ■エネルギーのしくみを変える ■グリーン電力に協力する ■グリーンコンシューマーとして ----------------------------------------------- 子育てワハハのみなさん、こんにちは。paco@知恵市場です。 今夏はゲストということで、環境問題について、いっしょに考えてみたいと思い ます。なるべくわかりやすく書いていきますが、わからない点などは新しく立ち 上がったフォーラムワハハ・メーリングリストで遠慮なく聞いてください。 僕はプロのライターで、環境問題についてはけっこう長いこといろいろな角度か ら追いかけてきてはいますが、その一方で、みなさんとたぶん似たような、シュ フとしての役割を毎日担当している人でもあります。朝ご飯、昼ご飯、晩ご飯、 つくっては食べ、片づけてをやりつつ、フリーランスとして仕事をしています。 ゴミの分別に悩み、生ゴミをコンポスト容器につっこんで、発酵剤をかけては熟 成して土に埋めて、なんかもしてます。 だからどうということはないんですが、まあそういう人が書いていると思ってく れればOKです。 ■地球温暖化問題ってなんだろう?---------------------------------------- さて、今回は、環境問題でもその「王様」ともいうべき、温暖化の問題を考えて みたいと思います。 地球温暖化とは、「温室効果ガス」と呼ばれるCO2(二酸化炭素)の増加によっ て地球の気温が上昇するという問題だということは、みなさんご存じのことと思 います。 CO2が出る最大の要因は、石油を燃やしているからです。石油などの資源を掘り 出し、燃やしてエネルギーを取り出す。その際、燃えかすとしてCO2が出ます。 CO2自体には毒性はないので、長いこと石油を燃やすこと自体は害がないと考え られてきました。しかし石油を燃やす量が増え続けるにつれて、生命には害がな いはずのCO2が、地球に、ひいては人間を含む生命活動に大きな悪影響を与える と考えられるようになってきました。 CO2が大気中で増えていくと、太陽熱で暖められた大地からの熱が次第に大気圏 にこもるようになります。これが温室効果で、このまま人間が石油や天然ガスを 使い続けると、次の100年間で、最大で摂氏6度程度の温度上昇が起こると想定さ れています。 ■温暖化すると、どうなるんだろう?-------------------------------------- 6度というと、たいしたことがないように感じられるかもしれません。何しろ朝 晩の寒暖差は6度以上ある日は珍しくないですからね。しかし地球の平均気温が 6度変化するというのは、大変なことです。 いまから1万3000年ほど前に、地球は最後の氷河期(いちばん最近の氷河期)を 迎えました。地球全体が寒冷化し、いまのヨーロッパぐらい北極に近いところは みんな氷に閉ざされていました。気候は安定せず、農業のように、毎年同じ条件 で作物を作ることもできず、森が与えてくれる植物と動物のわずかな恵みに頼っ て人間は細々と小さな集団に別れて狩猟採集生活をしていたのでしょう。 農耕ができないほど気候が安定しなかった1万年前の時代と、農耕ができるよう になった それ以降の時代との、地球の気温(平均気温)の差が5度程度なのです。 そして気候変動が起こるとすると、農耕さえできなかった厳しい気候の時代に、 あと100年程度の時間で突入する可能性があり得る。100年後というと、僕たちの 子供たちの、孫くらいの世代です。自分の子供がじいさんばあさんになったとき、 今とはまったく違った地球になっているとしたら、決して幸せになっているとは 考えにくいですよね。今いわれているように温暖化するなら、南極の氷が溶けて 海面が上昇し、平地が水没するとか、温帯まで砂漠化するとか、いろいろなこと が起こってくるでしょう。当然農業は難しくなり、食糧難が起こって、いい土地 を巡って戦争も頻発するはずです。 ■本当に数10年〜100年で、それほどの大変化がおきるの?------------------- 「地球は大きいから、大きな変化があるとしても何百年もかかるんじゃないか?」 という素朴な疑問もあるでしょう。しかし氷河期前後の気温の変化を調べる方法 があるのです。たとえば、南極に降り積もった数千メートルの氷の層を掘り進ん でみると、数万年の歴史が氷に閉じこめられています。これによると、大きな気 温の変化が、数十年という短い期間で何度も起きていた地球の歴史がわかってき ます。人間がCO2を大量に排出しているのは、せっかく1万年の間、温暖な気温に 安定している地球の歴史を、再び気温変化の激しい時代に逆戻しさせてしまうか もしれない、危険な「火遊び」である可能性が高いのです。 そこでいま、CO2の排出量を減らす、ということが大きな課題になっているわけ です。 ■CO2排出の原因の一つが、電力消費--------------------------------------- さて大きな問題がわかったところで、もうちょっと僕たちの暮らしに近づけて考 えてみましょう。今、僕たちの生活で一番多く石油を消費している分野のひとつ が電力です。電力を起こすには、石油を燃やして熱で水蒸気をつくり、タービン を回して電気を起こす方法が主流です。 他に、水力発電や原子力発電もありますが、水力は今では中心の座を譲っていま す。原子力は、火力のようにCO2を出すことはないのですが、放射能汚染の危険 があるし、発電出力の調整がきかないことから、原発が発電の主力になることは ありません。 なので、ここでは電気は石油などを燃やして起こしていると考えて進めましょう。 電力消費がCO2排出の大きな原因なら、僕たちは電気を使わないようにすればい いのですが、実際にはそう簡単ではありません。都市部ではエアコンのない生活 は非現実的だし、冷蔵庫が止まれば食べ物が腐って、即健康が危機にさらされる ことは、シュフであればすぐにわかります。こまめに電気を切る、無駄な待機電 力のかかるもののコンセントを抜くといったことはやっていく必要がありますが、 そういったことを一生懸命やっても、CO2増加による温暖化を止めるところまで いくのは、努力のわりに難しいのです。 ■エネルギーのしくみを変える-------------------------------------------- では僕たち主婦や生活者には、努力が無意味かというと、NOです。 僕たちは、「消費者」と呼ばれます。ものを買う人です。ならば、買うことで、 CO2を減らすことを考えるのがいちばんいい。 電気製品を買うときは、値段や性能も重要ですが、省エネルギー性能を重視して 買ってください。いまは年々省エネ技術が進んでいますから、冷蔵庫やエアコン は10年前の半分近くに少なくなっている機種もあります。エアコンをこまめに消 すことも重要ですが、消費電力の少ない機種を、温度設定を高めに(夏の場合ね) して使ったほうが、ずっと効果的にCO2を削減できます。もちろん、電気代も。 では今使えているエアコンや冷蔵庫を買い換えた方がいいかというと、もちろん NOです。使えるものは、使い切ってください。その場合は、フィルターをこまめ にそうじすれば、効率もいいし機械の負担も少なく、寿命も延ばせます。 あくまでどうしても買い換えが必要なとき、新規に買うときに、省エネを選択基 準にするということです。 これは大型家電に限りません。ビデオカメラ、パソコン、照明器具など、あらゆ る電気製品を選ぶときに、省エネルギーを重視して選んでみる。電力消費が少な ければ、電気代が安くなるので、買う時に少し高くても、コスト的には十分回収 できる上に、CO2削減に協力できるのです。 10年たてば、家の中の家電の半分ぐらいは代替わりしているでしょう。そのとき、 消費電力が半分の機種に買い換えていれば、2010年ごろにあなたの家から出る CO2は 25%も減っていることになるのです。もちろんほかの方法とあわせれば、 50%削減も不可能でありません。大事なことは、CO2の少ない生活を、消費者と して意図的に「選び取って、買っていく」いくことです。 ■グリーン電力に協力する------------------------------------------------ もうひとつの身近なCO2削減の方法は、CO2を排出しないクリーンな電力を買うこ とです。といってもいまの日本ではそういった制度がないのが残念ですが、欧州 では風力や太陽光など、CO2を排出しない発電でつくった電力を指定して買うと いう制度があり、日本でも近い将来導入されることになると思います。そのとき、 家計が許す範囲で、こういった電力を購入すれば、それだけ温暖化防止に貢献で きます。 今すぐできる貢献では、電力会社各社が行っている「グリーン電力基金」に加入 するという方法があります。 ▼たとえば、東京電力の場合 http://www.tepco.co.jp/corp-com/green/index-j.html これは風力発電の育成に、毎月一口500円を寄付するというもので、市民がCO2削 減に直接に、しかも手軽に協力できる数少ない方法のひとつです。 ■グリーンコンシューマーとして------------------------------------------ CO2削減に限らず、農薬汚染やダイオキシン問題、廃棄物問題など、さまざまな 環境問題があります。もし、こういった問題に関心を持ち、少しでも何かしたい と考えるなら、消費者として行動することを考えてください。 ものを買うとき、環境にすこしでも配慮した製品を買う。たとえば子供が使う文 具は、再生紙や再生プラスチックを使ったものにする。毎日飲むジュースやビー ルひとつとっても、メーカーによって環境対応した企業が出している製品とそう でないメーカーの製品があります。 いまはインターネットでほとんどの企業が環境対応の情報を出しています(トッ プページか、企業概要のページに、環境対策、といったリンクがあります)。品 物選びに迷ったら、インターネットで企業の環境対応を学び、すこしでも対応に 積極的な企業のものを買いましょう。消費者が環境問題に敏感であるほど企業は 環境対応をせざるを得なくなり、そうやって企業が環境によい活動をすれば、個 人が家庭の中で努力するより、はるかにスピーディに環境対応が進みます。 先日ソニーに環境対応の話を取材にいきましたが、そうとう力を入れていました。 ビールでいえばアサヒビールは生産工場をゼロエミッション化(生産段階で廃棄 物を出さない)しています。冷蔵庫やエアコンなどの家電品についてはメーカー というより、機種ごとのばらつきが大きいので、省エネや廃棄物、使われている 化学物質などについて、楽しみながら情報を集めてみてください。販売店でも最 近は省エネ達成度が具体的な電気代で表示されているので、気をつけてみてみる と、意外なメーカーががんばっているのがわかったりします。 もちろん、小さな省エネ努力の積み重ねや、ゴミの分別は、どんどんやっていく 必要があります(僕もできるところからやっています)。しかし、それ以上に、 「買い物」で企業を動かすことのほうが、社会全体で見たときには、ずっと効果 的だということも、心にとどめておくといいと思います。 さて、今回は温暖化と電力について話してきましたが、ほかにも生活に関係の深 い環境問題はいくらでもあります。今回は取り上げなかった原発や、自動車と排 出ガス、ダイオキシンなどの化学物質、森林破壊、資源枯渇、農業や水資源など。 また機会を見てお話しできると思いますので、こんなことを知りたいというよう な点があれば、遠慮なくリクエストしてくださいね。 -------------------------- paco/渡辺パコ paco@suizockanbunko.com それでは続きはフォーラムワハハ・メーリングリストで。お話しましょう。皆様 のお越しをお待ちしております(^_^) ▼渡辺パコ プロフィール ─────────────────────────────────── わたなべぱこ。1960年生まれ、蟹座のO型、動物占いはペガサス。別姓結婚の妻 が一人、小学校2年生の娘が一人、スーパーラビットのカトンテール♀の3人と 1匹暮らし。ライター、ビジネスコンサルタント、ビジネススクール講師などを 仕事にしつつ、家事の6割ぐらいを担当する働くシュフSOHO。 text by paco ----------------------------------------------------------------------○ |
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