●ワハハ・ライブラリー:

 ワハハ・ライフ必携の絵本&本をご紹介やワハハな絵本との付き合い方を紹介しています。
 インターネットの本屋さんから取り寄せられるURLつきです。

的 書 評 か ら

秋のKuri的書評シリーズ(3回シリーズ)
 ■その1:「母の手を逃れて 」
 ■その2:「専業主婦でなぜ悪い!?」
 ■その3:「ダライ・ラマが語る 母なる地球の子どもたちへ」

◎子どもを預けて働く親に、ファイト一冊!
 書評: 
「仕事を持つのは悪い母親?」の巻
【吉田進み矢のなんとなく絵本的】 ●

【第一回】 トムズボックスという運動体
【第二回】 講演会の楽しい部分(吉田の場合)

●さぬきうどんのおすすめ本


『フランスだったら産めると思った』
(祐天寺りえ著 原書房)

ワハハスタッフ☆おすすめ本の紹介●

秋の夜長は絵本ですごそ

 児童書・絵本の売り子は子持ちになってどう変わったか
 (オンラインブックストアbk1
  児童書・絵本担当 吉田進み矢 )

 スタッフからのおすすめの一冊

きたゆの「ようこそ!絵本の世界へ」
ワハハスタッフおすすめ本 2001/6/1
きたゆから☆おすすめ絵本の紹介●

「かいじゅうたちのいるところ」 2001/4/15

「ものものずかん」 2001/5/15

「ぞうのさんすう」 2001/8/15

「ちのはなし」 2001/6/15

「フレネ学校 愛について」 2001/7/15

「くまさん くまさん なにみているの?」 2001/9/15 

 

お好きな本をここから購入できます●

アマゾン書店

  支払い:クレジットカード、アマゾンギフトカードのみ

サーチ:

オンラインブックショップbk1 

 支払い:クレジットカード、代引き配達(現金)


 ■秋のKuri的書評シリーズ(3回シリーズ)
   その3:ダライ・ラマが語る 母なる地球の子どもたちへ 
        
ダライ=ラマ14世、ジャン=クロード・カリエール著 新谷 淳一訳

前の2冊が長めの書評だったので、これは短めに。でもこの本は、人によっては、
もしかしたら前の2冊をはるかに上回る“秀逸さ”を感じるかもしれない。

この本は集中して読むともっといいのだろうが、今はあまり時間に余裕がないの
で、義父の介護や移動や家事の合間に読んでいる。私たちの最重要テーマである
「環境」や「教育」についても触れられているが、それより何より、普段、私た
ちが「つらい」とか、「きつい」とか、「いやだ」と思う気持ちをいったいどう
したらいいのか、そして、そういうネガティブな感情はどういう意味を持つのか
を、ぜ〜んぶダライ=ラマ14世が解説してくれている。

私は特に宗教は何も信仰していないけれど、この本が私の前に登場したタイミン
グがあまりによかったのか、その質の高い内容に驚き、一言一言に心でむせび泣
きながら読んでいる。でもその一方で、いろんなことにすごく意欲が湧いてくる
から不思議だ。仏教についても、ヘタな本よりスッキリ理解できるのがうれしい。

そして特にこの本の著者に注目してほしい。J.C.カリエールといえば、映画「ブ
リキの太鼓」でも有名な脚本家だ。ある種、“俗物”。その彼が最高の宗教指導
者の一人であるダライ=ラマにヒヤヒヤする質問を投げかけ、それにダライ=ラ
マが静かに、ときに情熱的に答える対話となっている。

表紙もダライ=ラマが「バーン!」なんて出てこない。インテリア雑誌のような
風情だ。心豊かな時間に、そして子どものためを思ったら一度は読んでおきたい
本のひとつ。まさに「知性と癒し」のかたまりだ。

------------------------------------------------------------------------
 ダライ=ラマ14世、ジャン=クロード・カリエール著 新谷 淳一訳
 出版:紀伊国屋書店 発行年月:2000.7 本体価格: \2,400
────────────────────────────────────

■この本を bk1で買うアマゾン書店で買う

HOMEにもどる     TOPにもどる     感想を書く     編集部にメールを書く

 

 ■秋のKuri的書評シリーズ(3回シリーズ)
   その2:「専業主婦でなぜ悪い!?」 
L.バートン、J.ディットマー、C.ラブレス著 遠藤 公美恵訳

あぁ、どうしよう。今回、仕事で私にとってアンタッチャブルだったテーマの書
評を受けてしまった。

タイトルは『専業主婦でなぜ悪い!?』。えぇ〜開き直り?参ったな。しかし、
避ける理由はない。この際、受けて立とうじゃないか。

さて、子育てサイトやネットビジネスのフロントにいて感じるのは、あるカテゴ
リの女性にみられる社会性のなさだ。言葉遣い、物事の進め方……どこかに甘え
と身勝手さを感じる。フリーランスだったら、次の仕事が来ないだろう言動も平
気でやってのける。もちろん専業主婦に限っての話ではないのだが、なぜそこに
専業主婦が目立ってしまうのだろう。

そんな重い気持ちを引きずりながら読んで、最初に驚いたのは、専業主婦3名の
著作にして、翻訳の上手さも手伝ってか、実に読みやすいことであった。しかも
私の心は「分かる、分かる。」と勝手に共感し始めている。そう、そこには子を
持つ母親の日常のすべてが網羅されていたのだ。

つまり、この書は“子持ち専業主婦白書”だったのである。あまりのリアルさに、
辛さを突き抜けて笑いさえこみ上げてくる話もある。できれば人に見せたくなかっ
たはずの生活感丸出しの現実がそこにある。アメリカも日本も変わらないのだ。

しかし、この本は白書では終わらない。すべてのテーマに実に豊かな人生時間の
積み重ねが見えてくる。さらに、何をもって人生か?という本質的な答えの数々
もそこにある。しかも専業主婦をしていると確実に失われる「緊張感」をほどよ
く呼び覚ます心のストレッチ効果も与えてくれる。

私はひねくれ者ゆえ、結びのピュアさが少々鼻を突いたが、こーゆー人たちがい
ないと逆に世界秩序が保てないことも分かっているつもりだ。

子育てと主婦業は一生のプロジェクトである。そもそも専業主婦とは何か?母親
の存在価値とは?そして家事と育児に追われて泣きたくなることが一回でもあっ
た人に、この本の一読とこのをお勧めしたい。

------------------------------------------------------------------------
 L.バートン、J.ディットマー、C.ラブレス著 遠藤 公美恵訳
 出版:文芸春秋 発行年月:2002.8 本体価格: \1,762
────────────────────────────────────

■この本を bk1で買うアマゾン書店で買う

HOMEにもどる     TOPにもどる     感想を書く     編集部にメールを書く

 

 ■秋のKuri的書評シリーズ(3回シリーズ)
   その1:「母の手を逃れて 」 
ジョジアーヌ・ペラン著 朝比奈 弘治訳 岩沢 雅利訳

この本をどう例えたらいいのだろう。始まりは確かに「幼児虐待」の話だった。
しかし読後に“爽快さ”と言おうか、“達成感”に近い思いがこみ上げてくる。
しかもその感覚は、「幼児虐待」の話からは程遠い。

縁あって知人からこの本を送っていただいたとき、ちょうど友人から、親からの
虐待が原因だったアダルト・チルドレンを乗り越えつつある、その克服過程の話
を聞いていた。そして「Kuriさんは虐待やそういうものには関心がないの?」と
尋ねられ、「自分にとっては想像を絶するそのテーマに、うかつに関われない
と思っている。」と答えたばかりだった。

幼児虐待はニュースでは頻繁に見ていた。サイトや他の情報ソースからも耳には
していた。でも本当に私が幼児虐待を受けた人の生きざまを知ったのは、多分こ
の本が初めてだと思う。

舞台がフランスであるため、日本の社会のしくみや虐待のあり方とは少しの違い
はあろうかと思う。しかし、この本に登場する愛すべき少女たちの心境の変化と
成長は、虐待を受けていない者にも、沢山の気づきとチカラを与えてくれる。

子どもは虐げられてもなお、親を慕い、愛されたいと切望するものなのだ!そん
な子どものあり方を知れば知るほど泣けるが、この本には全体を通して徐々に明
るさを増していく「光」を感じる。

この本を読み終わったとき、私は本当に心から子どもにとって、愛情あふれる母
親でありたいと思ったし、私は普段、誓いをたてるほど信心深い人間でもないの
だが、そういう母でありたいとひそかに心に「誓った」のは言うまでもない。

表紙も非常に洗練されたイラストとデザイン。幼児虐待に今ひとつ関われない人
や子どもについ手を出してしまう人には、特に一読を勧めたい。


------------------------------------------------------------------------
 ジョジアーヌ・ペラン著 朝比奈 弘治訳 岩沢 雅利訳 出版:紀伊国屋書店
 発行年月:2002.6 本体価格: \1,600 
────────────────────────────────────

■この本を bk1で買うアマゾン書店で買う

HOMEにもどる     TOPにもどる     感想を書く     編集部にメールを書く

 

 ◆Kuri的書評から
   
「仕事を持つのは悪い母親?」 シルヴィアンヌ・ジャンピノ著 鳥取 絹子訳


ついに出た。この書は私たち働く母親が待っていた「本物」の本という感じがす
る。

今、世の中は“ワーキングマザー”を支援する本や雑誌、ネットでのアドバイス
が盛況だ。どれも「仕事と育児の両立」を掲げて鼻息が荒い。しかし、かつて会
社勤めをしていた私には、「ピン!」と来るものがあまりに少なかった。そもそ
も子どもを持つ親が育児をしながら仕事をするのは本来、社会としてあたり前で
あるはずで、「両立を頑張っていること」にエールを送られたって、「だから、
どうなのよ?」という感じだったのだ。

しかし、おそらくこの本が初めてだ。「子どもを預けて働く」という母親のライ
フスタイルが育児にどう貢献するかを心理学的なエビデンスに基づいて、ここま
でポジティブに話してくれたのは!同じエールでもこの本のエールは、とりわけ
ありがたい。救われる想いだ。

この書こそ仕事を持ち、経済的に自立をし、子どもとともに生きることを選びと
った母親がまず最初に読むべき書だろう。そして私たちがいかに「仕事と育児の
両立」から呪縛を受け、勝手に思い込み、誤解をしていたかが分かる。読んでい
ると、まるで“垢すり”のように不安や罪悪感がボロボロと落ちてきて、快感さ
え覚える。また保育者や母子を取り巻く家族らもこの書を読むことで、よりよい
次世代や親の生活や社会の質の向上につながるのでないかと推測する。 この書の著者はフランス人の心理学者だが、さすがおフランス。少々表現がフラ ンスな的クセがある。時々読んでいると、彼らの独特な表現に異和感を覚えない でもない。が、しかし、この本はどのページをめくっても、育児と親の生き方の 示唆と愛、提案とエネルギーに溢れている。 あわただしく会社を出て、子どもを迎えに行くときに電車の中で読むと勇気と希 望が湧いてくるだろう。ちょこちょこ読みでも一週間あれば読める。働く女性全 員に今すぐ読んでもらいたい。読んだ親から涙や悩みにお別れだ。 ------------------------------------------------------------------------ ●著者紹介:〈ジャンピノ〉仏の心理学者・精神分析学者。幼児とその家族を専 門とする臨床精神分析医として20年以上のキャリアを持つ。A.NA.PSY.p.e. (幼児心理学者全国組織)創設メンバー。 ──────────────────────────────────── ■この本をbk1で買う  ・紀伊国屋書店紀伊国屋書店出版部 関連図書一覧

HOMEにもどる     TOPにもどる     感想を書く     編集部にメールを書く

 


 
『なんとなく絵本的』 第1回:トムズボックスという運動体


  「好きな若手絵本作家って?」と僕に問われたら、「ベテランばかりだから若手
って何歳まで?」と問い返すのだけどそれは置いといて、酒井駒子、どいかや、
工藤ノリコらを挙げますな。彼女らの絵本の奥付を見ると、しばしば「編集 ト
ムズボックス」とあるのですな。これらはトムズボックスの土井さんがプロデュー
スした絵本達なんですわ。

トムズボックスは東京・吉祥寺に小さな店を構え、そこで絵本・児童書の小売と
ギャラリーを経営してるのですわ。また、編集や出版、更に「あとさき塾」とい
う、まあ、ザックリ言えば絵本作家養成講座まで運営してるんですな。ここの講
師陣は荒井良二、飯野和好、五味太郎等々のバリバリの絵本作家で、国内屈指の
講師陣であると断言。

お店に初めて足を運んだ時、正直、「絵本・児童書を売る店ではないな」と思っ
たのですよ、実は。その理由は「ベビーカーで来店できない」という点。その話
を絵本作家の工藤ノリコさんに話したら、工藤さんはこう言ったんですよ。

 「あのお店は、作家を応援する店だと思う」。

 この感覚は僕には無かったです。「ほー」っと感心してしまいましたな。

作家を育て、編集し、出版し、販売する。これがトムズボックスという運動体。
土井さんは名白楽。今後、あとさき塾出身の1970年以降生まれの絵本作家達がど
んどん出てくるでしょうな。

ただ新人発掘に一番力を入れるべきは出版社であると、僕は思っていたりします。
bk1工藤ノリコさんインタビュー 

HOMEにもどる   TOPにもどる   感想を書く   編集部にメールを書く



 
『なんとなく絵本的』 第2回:講演会の楽しい部分(吉田の場合)


 僕はしばしば「講演会」と呼ばれるものを聞きに行きます。
と、友人に話してみたところ、「ふーん。金払ってそういうの聞きに行って、何
が楽しいの?」と言われたことがあるのですが、いや、なかなかに楽しいんです
よ、行ってみると。

僕が行くのはだいたいが絵本作家のものです。あと、児童書関係の団体主宰の勉
強会的なものとかですか。やっぱ、その人の人柄に直接触れられるのが作家講演
会の醍醐味だと思うのですが、どういう時に僕がそれを一番感じるかと言うと、
それは絶対に「他人の悪口を言う時」だと思う次第です。

やはり、記録に残らないと思うと気が緩むのでしょうね。
作家さんによっては「これはここだけの話ですが」という前置きで、非常にタチ
の悪い発言を聞けたりします。この瞬間が一番好きですね、僕は。

あと、たまに作家自身で著作を読み聞かせしてくれる時があるのですが、これは
その人の作品を探る上での重要な要素となりますので、かなり嬉しいですね。

それと、細かい部分で好きなのは、「マイクの電源がなかなか入らない時のリア
クション」です。観察すると、本当に細かく十人十色という感じですよこれが。

というわけで、お時間ある人は興味のある分野の講演会が近くであったなら、一
度くらいは聞きにいかれてみてはと思うわけです。
レッツ聴講。
                          Text by 吉田進み矢

HOMEにもどる   TOPにもどる   感想を書く   編集部にメールを書く


 
新刊おすすめ 〜さぬきうどんのおすすめ本〜
  『フランスだったら産めると思った』(祐天寺りえ著 原書房)

『フランスだったら産めると思った』(祐天寺りえ著 原書房) 
★購入希望の方は本をクリック!

◎ワハハ・新刊おすすめ本 〜さぬきうどんのおすすめ本〜
 とにかく元気の出る本です。楽しいばかりじゃない子育ても、ともすれば決裂 しがちな夫との家事分担をめぐる戦いも、なんとか頑張ってみようじゃないの、 という勇気がむくむくと沸いてきます。そうさせるのは、この本に一貫して流れ ている、「子どもを産んでも一人の女性として楽しく生きていいんだ!」という メッセージ。自分のライフスタイルを貫くために、子どもをいかに自立させるか、 手伝わない夫にいかに協力させるか、などなど、フランス女性のノウハウをちょ こっと盗んでみましょう。 「こんなに手抜きでいいの?」と最初はびっくりしたフランスの子育て事情も、 読み進むうち、「これで子どもが育つんならそれでいいじゃない」とどんどん肩 の力が抜けていくのもいい感じです。 <<著者 祐天寺りえさんからのメッセージ>>……………………………………  「育児を楽しんでいる」または「楽しもうとしている」フレンチママは、とて も少ない。みんな子ども、夫、社会、自分自身を相手に日々闘っている。自分の バランス感覚(常に母・妻・女・社会人である)が崩れないように、壊されない ように。そしてそんな彼女達の姿勢こそが、私に子供を産む決意をさせてくれた。  発売以来約1カ月。読者からの声が集まり始めている。ある独身女性からは 「結婚や育児は決して楽しいばかりのものではない。楽しむべきものでもない。 やはりそうだったかと確認でき、よ〜し、私も結婚して子供を産み闘ってみるぞ !と、新たな勇気を持てました」 こんな力強い闘志も届いた。同士ができたようでとても嬉しい。 この本を買う

 

HOMEにもどる   TOPにもどる   感想を書く   編集部にメールを書く


 
<秋の夜長は絵本ですごそ&ワハハスタッフおすすめ本> 2001/10/15

 


秋と言えば夜長、夜長と言えば読書。今回はワハハの友だち、インターネット
書店「bk1(ビーケーワン)http://www.bk1.co.jp」で児童書(絵本他)を担当、
自らも「エホンバタケ(http://plaza8.mbn.or.jp/~ehonbatake/)」で絵本に関
わる新人パパ、馬場進矢さんから絵本考を寄せていただきました。

                 ◆

○児童書・絵本の売り子は子持ちになってどう変わったか-------------------
 オンラインブックストアbk1児童書・絵本担当 馬場進矢

みなさま、どうもはじめまして。
オンライン書店ビーケーワン(http://www.bk1.co.jp/)で、児童書・絵本担当を
やっております馬場と申します。

僕は今年の5月に子持ちになったのですが、その結果どう変わったか、というか、
そういう部分を児童書・絵本担当的に考えてみようと思いまして、ちょっとつら
つらと書かせていただこうかと思います。

その前に、書店の児童書・絵本担当というのは女性であることが圧倒的に多いの
ですわ。それは、客層が「子どもとその母親」というカップリングが多く「女性
の方が棚作りが自然に巧い」という発想がベースになっているのだと思われます。
それに対し、僕はどうなのかと聞かれれば、素直に「その感覚が弱い」と認めて
しまいますな、はい。僕は僕が読んで楽しいな、グっとくるなというのを最も重
要視して棚作りをしてきました。そういう考えでこれまで(約8年)この仕事を
やってきたんですわ。

                   で、子持ちになってどう変わったか。

まあ、正直「変わった」というほどのことはなかったりするのですが、ある部分
は再確認し、また意外な部分で気づかされることが色々とあったのですわ・・・。

                   
▼その1……………………………………………………………………………………
僕は独身時代に2年ほど、地元で絵本読み聞かせのボランティアをやっていたん
ですわ(そういうことに参加する20代の独身男子ってのは稀なんですが、別に
女子目当てに参加していたわけではありません)。あれはなかなか良い経験でし
て、
                    「子どもたちは怖いくらい正直だ」

ということを身をもってそこで学びました。そして、現在生後5ヶ月の我が子に
もやはり読み聞かせをやっていたりするんですわ。内容を理解できるはずも無い
のですが、でも楽しいんですよねえほんと。ここで、前からわかっていたことを
再確認したんですわ。

>★結局、自分が一番楽しいんですな、読み聞かせって。

これって今後、自分の中で読み聞かせを考える上でのひとつの大きなファクター
になるなあと思いましたな。「読み聞かせ」という言葉にナーバスに反感を抱く
人は結構多くて、実はバラエティに富んだトピックスなんですよ読み聞かせって。
児童書・絵本担当としてその辺の自分なりのポリシーはしっかりと持っていたい
ものです。

#その辺をここにチラっと書いております。



▼その2……………………………………………………………………………………
昔っから福音館書店の絵本の裏表紙に記載されている対象年齢表記について疑問
を持っていたんですわ。だって、絵本に対象年齢を設けるって変だと思いません?

会長の松居直さんも講演会では「あれは実は僕もどうかなあと思っています。で
も、そうすることによって売れるんですよね」と言ってますわ。「それも必要か
なあ」なんて思うようになったのです、子持ちになってから。特にファースト・
ブックの場合。

僕の持論では、「児童書には保険が必要」というのがあるのですわ。これは児童
書・絵本は95:5でロングセラー偏重で、ガイドブックの売れ行きも他ジャンル
に比べて高いという性質から導いた考えです。

#ここにチラっとそのことを書いております。


ただ、僕は「僕は違う」と漠然と思ってました。僕は

             「自分の子どもに与える本は、僕自身で確認して、
                  僕が良いと思うからチョイスするんだ」

と。でも…子持ちになって、我ながら本当にそうだなあと実感したんですよねえ。

>★不安の塊ですね、人の親って。


▼その3……………………………………………………………………………………
僕の個人サイト【エホンバタケ】のサイトコンセプトは「教育、しつけとかから
絵本を切り離しましょうよ」ということなんですわ。

#【エホンバタケ】
 http://plaza8.mbn.or.jp/~ehonbatake/

児童書・絵本の売上は10年近くずっと前年割れになってます。原因は複合的な
のですが、「表現としての絵本」という捉え方が希薄になったのもその一つだろ
うなと僕は思うのです。教育的立場の方々の影響力も相当でかいです。いろんな
意味で。

例えば、『パイルドライバー』という絵本があります。これは、著者の長谷川集
平さんが言われてたのですが、「プロレス技を書名にした時点で大手出版社から
出すことができなくなるんですよ」とのことですわ。これって僕的には象徴的な
事象だと思うんですよ。

子どもを舐めていると思うんですわ。

そんなに馬鹿じゃないですって子どもって。と、ずっとそう感じまして、サイト
コンセプトを上記のように設定したのですが、実はもうひとつ理由があるんです
わ。教育・しつけというか、「子どもの本」としての児童書・絵本という捉え方
がイマイチできないんですよ、経験の無い僕には。経験が無いんで自信を持って
おすすめできないんです。

>★僕は今なら自分の経験で「子どもの本」としての児童書・絵本をおすすめで
  きます。

今、娘にひんぱんに読み聞かせているのは『しろくまちゃんのほっとけーき』で
す(以前ワハハでも紹介しましたね)。出版から30年を経る名作で、あらゆる
絵本ガイドで紹介されている超メジャーな作品ですが、僕は経験を持って、「ま
だ言葉を理解できてういなくても、子供と触れ合う上でバッチリの一冊です」と、
売場にPOPを書くことができます。

『しろくまちゃんのほっとけーき』


                     ------------------------------

・・・とまあ、このようなことを子持ちになって考えました。書店の児童書・絵
本の売り子としての幅が広くなったと思っております。

我が家には約500冊の絵本蔵書が待ってるぞ、娘よ。
 
秋の夜長。親子で本を一緒に読むのは実に良い趣味だと思う次第です。そういう
時はオンラインブックストア・ビーケーワンの児童書・絵本サイトにお立ちより
くださいませ。よろしくお願い申し上げます。
                             text by Shinya Baba

○ワハハ・編集スタッフからのおすすめ本 --------------------------------

さてワハハ・編集スタッフからのおすすめ本は、子育てに限らずノンジャンルの
中から超おすすめの一冊。「好きな本っていっても、一杯あるしなー」と悩んだ
結果は?読者の皆さんも「私だけのオススメ本」、ぜひ教えてくださいね!

○Kuriのおすすめ--------------------------------------------------------

                          『私の保存食ノート』
                      著者:佐藤雅子(文化出版局)

 ----------------------------------------------------------------------
 この本を読んでから、私の家で食べるご飯の意識が変わりました。今も外食は
 大好きですが、作る人の心のぬくもりが入って初めて美味しくなることや、毎
 日のご飯を考えることが、もしかしたら自分の生活の質に一番影響することを、
 この本で確認できたような気がします。文化出版局から出ている割には中身が
 質実剛健系で一見、くらしの手帖。お金では絶対に買えない家庭の味(おふく
 ろの味)、手作りの味、そして手作りをする時間がもたらしてくれるものとは
 何かを考える一つのいいきっかけになります。良家といわれる家の嫁と姑を垣
 間見たりもして、今となっては稀有な家族食本。誰にでもおすすめしませんが、
 興味のある人にこそ、ぜひ手にとってもらいたい本です。     text by Kuri


○おちゃずけのおすすめ ------------------------------------------------


                      『子どもへのまなざし上・下』
                    著者:佐々木正美著(福音館書店)

 ----------------------------------------------------------------------
 今、売れに売れてる本なのでご存知のみなさんも多いと思いますが、私が子育
 てのバイブルとして持ってる本がこの『子どもへのまなざし』と『抱かれる子
 どもは良い子に育つ』(PHP研究所)です。後者は、ともかく抱いていないと
 泣いてばかりいる我が娘を抱きながら読んだ本。そしてそうやって抱いて育て
 たにも関わらず超悪がきに育った我が子に途方にくれてたとき出会ったのが、
 今回紹介するこの本です。

 著者は言います。愛情の与えすぎで子どもがだめになる事はない。子どもの望
 む事を望むとおりに叶えてやることは、最高の子育てである、と。そんな事で
 はわがままで自立しないとんでもない子に育つのでは?との疑問に、なかなか
 説得力ある話で回答が得られます。

 こうして、本に勇気付けられながら、今日も、わがまま娘と格闘して、一日を
 乗り越えます。でもまた、10年もすぎれば、なんでや!!と思う事もあるの
 でしょうが、子育てってともかく今日一日を乗り越える事が大切なのではと、
 思えるのです。

 子育てが少し辛く感じられる時、ぜひ一度手に取ってみて下さい。
                            by おちゃずけ

○poiのおすすめ -------------------------------------------------------

                『親の悩み方 ー子育ては自分育てからー』
                     著者:落合恵子(河出書房新社)

 ----------------------------------------------------------------------
 図書館でなにげなく手にとった本でしたが、マイナスの感情を溜めやすい私に
 とって、ふわーっと肩の力を抜けさせてくれる本でした。

 まったく単純に 気持ちいい って
 気持ちいい ことだ
 気持ちいいことを探すことは
 わがままでも 勝手でもない
 なのにどうして?
 母という女が それを言うと
 わがままだ、という人がいるのだろう
 忘れてはならない
 あなたが気持ちいい時
 あなたの傍らに居る子どもも
 気持ちいい時空に漂っていることを
 そして もっとやわらかな「結びあい」のために
 「親子カプセル」から飛び出そう        〜本文より抜粋〜

 子どもも、私も、もっと大事にしてあげようと思うきっかけになりました。
                                by poi

○ひろぴーのおすすめ --------------------------------------------------

                        『子育てに絵本を』
                        著者:山崎 翠(エイデル研究所)

 ----------------------------------------------------------------------
 著者の山崎翠さんと初めてお会いしたのは、区の主催する子育て講座でした。
 その時『ころころころ』という一冊の絵本を読んでくださいました。『ころこ
 ろころ』は、題名どおり「ころころころ」という活字しかなく、絵は坂道だっ
 たり、でこぼこ道だったり・・・。この難しい絵本を場面ごとに実に感情を込
 めて読んでくださり、普段私の読み聞かせにはあまり興味を示さない娘が、絵
 本の世界に魅了されていました。その姿を見て、私の読み聞かせは心のない読
 み聞かせだったのかなと反省もしました。「ことば」を心にのせて語る大切さ
 や、絵本を通じて親子で感動体験の共有ができることなど、絵本の読み聞かせ
 の意味を改めて感じさせられる一冊です。          by ひろぴー


○さぬきうどんのおすすめ------------------------------------------------
                         
                    『「夢ノート」のつくり方』
                         著者:中山 庸子(大和出版)

 ----------------------------------------------------------------------
 中山庸子さんというと『今日からできる なりたい自分になる100の方法』
(幻冬社)およびその続編の方が有名かも知れません。この本はその前身ともい
 うべきもので、地方で美術教師をしていた中山さんが、37歳にして、安定した
 教師という職を捨て、いかにして、かつての夢だったイラストレーターになっ
 たか、を知る本。そればかりでなく、「このままじゃ人生終わりたくない」
 「何かしたい」ともがきつつ、答えを見いだせずにいるすべての人にヒントを
 与え、元気にしてくれる本です。以前私は、この手の自己啓発本は何だか弱い
 所を突かれるような気がして心惹かれつつも読まずに過ごして来ました。でも
 ある時、対談で中山さんご本人にお会いして、あっさりと大ファンになってし
 まい、一転、中山さんの本は片っ端から読むという変わり様。どれを読んでも
 元気づけられるのですが、やっぱり、初期の初期のこの本が一番好きです。
                            by さぬきうどん

○ goのおすすめ -------------------------------------------------------
                             
                          『黄落(こうらく)』
                       著者:佐江衆一著(新潮社)

 ----------------------------------------------------------------------
 秋の夜長・・・。なんだかしんみりとした気分を、味わいたくなるときがあり
 ませんか?そして、本や映画を見て、泣きたいな〜と思う方!にご紹介いたし
 ます。この黄落(こうらく)は、高齢になった実父母を、定年を迎える息子夫
 婦が自宅で介護し、その生活の現状や苦悩をつづった物語。自分の親を介護す
 るなんてまだまだ先と、考えられない方が多いと思います。私自身もそうでし
 た。でもいつかはやってくるのですよね。なんとなく買って読んでみましたが、
 読み始めたらその世界に引き込まれ、自分自身の未来とオーバーラップしてき
 て、涙があふれて止まりませんでした。本当に泣けます。

  「自分もいつかは親の介護をし、さらには自分も介護される時が来るのだ」

 この本は、これから先どうやって親の面倒を見るか、自分はどう終焉を迎えた
 いかを考えるいいきっかけを与えてくれます。また、現在両親の介護をされて
 いる方に、みんな同じような悩みを持っているのだと元気づけ、気持ちを楽に
 させてくれます。介護に興味を持った方にぜひおすすめしたい本です。
                                                        by go

----------------------------------------------------------------------○

HOMEにもどる      TOPにもどる


 
ワハハ・スタッフおすすめ本> 2001/6/1

 


<poiのおすすめの本>
「チョコレート工場の秘密」ロアルド・ダール著 評論社 800円

子育てって「オトナである面」はもちろん「子どものこころ」も忘れてはいけな
いと思ってます。この本はその「子どものこころ」を存分に刺激してくれます。
世界中のチョコのうち5枚だけに入っている金色の紙、なめられるおいしい壁紙、
フルコースが味わえるガム、そして最後に工場主から贈られる素敵すぎるプレゼ
ント・・・。この本をおもしろくないと感じたとき、私の育児もきっとつまらな
いものになっていることでしょう。

                   ---------------------------------

<goのおすすめの本>
「はやねはやおき四回食〜乳児食の食生活と料理230種」 婦人の友社 1300円
                     

離乳食が終わって、そのあとの乳児食に悩んでいたときに出会った一冊。他の乳
児食の本とか見るとかわいいお花でくり抜いたにんじんを飾って・・とかは、私
自身やってられないし・・・(^^ゞ。この本に載っている料理は、大人も十分に
おいしくいただけるレシピ揃いなので、取分けで乳児食を進めていきたい方にぴっ
たりの本です。また、乳児食で困ったときのQ&Aや、手作りのおやつのレシピも
載ってます。
                   ---------------------------------

<Kuriのおすすめ本>
「パパラギ〜はじめて文明を見た南海の酋長ツイアビの演説集」
                     岡崎照夫訳 立風書房 800円

「物がたくさんなければ暮らしていけないのは心が貧しいからだ」と言われたら、
あなたはどう答えますか?あなたが失ったものと笑いが、ここにあります。

 

HOMEにもどる      TOPにもどる


 
きたゆの「ようこそ!絵本の世界へ」

 


 今回の特集は、スタッフきたゆさんの「絵本」を通じた育児提案。絵本って、赤
ちゃん時代から大人になるまで、長いつきあいの中で、私たちにいろんな気づき
を与えてくれますよね。あなたの絵本との付き合い方はどうですか?今回はその
絵本を通じて、あなたと子どもの関係まで考えてみます。


○C O N T E N T S --------------------------------------------------

   ○子供に絵本を与えよう…………初めて与えた絵本は何ですか?
   ○書評で絵本を選ぶ………………人の評判が気になりますか?
   ○絵本に効果を期待しますか?…あなたの絵本選びの基準は何ですか?
   ○いいと思ったら買ってみよう…あなたのお気に入りを探そう
   ○一緒に読む………………………一緒に、声に出して読んでみましょう。
   ○【絵本の5つのステップ】
   ○きたゆのおすすめ絵本の紹介


○子供に絵本を与えよう------------------------------------------------

          初めて与えた絵本は何ですか?

生後6ヶ月くらいの赤ちゃんは、「絵」よりも「漢字」を認識する能力が長けて
いるそうですが、そうは言っても絵本を与えると、どんな反応を示すのか興味が
あるところでしょう。

よく「初めて出会う布の絵本」とか「0歳からの赤ちゃんの本」と名打つ絵本を
見かけます。でもこのような「タイトル」付きの絵本、何を理由に「赤ちゃん向
け」と定義されているのか、疑問に思ったことはありませんか?

    布だから?0歳でもわかりやすい絵柄や色が使ってあるから?

あなたはどう思いますか?布・素材または単純な絵柄や色は、確かに赤ちゃんに
とって「やさしい」かもしれません。そしてこれら要素は、いかにも赤ちゃんが
喜びそうなイメージを与えます。でも赤ちゃんは、それで本当に満足してるのか
しら?

見るものすべてが、感動と喜びに溢れる赤ちゃんワールドは、もっともっと複雑
なのではないでしょうか。


○書評で絵本を選ぶ----------------------------------------------------

            人の評判が気になりますか?

絵本のみならず、自分の本を選ぶ時にも、巷の評判や書評というのは選択時のひ
とつのポイントとなりますね。自分の本なら、好みも興味もハッキリしていて選
びやすいかもしれません。でも、どこに興味が振れるかわからない子供のために
本を選ぶという場合、難しく感じることもあるでしょう。

それに加えて、肩書きのある人のコメントや多くの絵本を見てきた出版社の書評、
推薦図書の4文字、大多数の人が絶賛! など、人の心理をあおるようなキャッ
チコピー。評論家の言葉などは特に「重み」があるような錯覚さえ起しますし、
コピーには、その絵本を買ってしかりと思わせる力があります。

そこへ来て、「子供に最良の物を与えよう」という親の心理も加わります。書評
が気になったり、多くの人が「良い」と薦めた本を選びたくなったりするのもそ
れですね。その他の視点として、「教育に良い」「子供の心を育てる」といった
絵本の効能も気になりだします。

こうして絵本選びの迷路に迷い込む・・・あなたにも経験がありませんか?


○絵本に効果を期待しますか?------------------------------------------

          あなたの絵本選びの基準は何ですか?

迷いに迷って選んだ一冊。子供は関心を示してくれるかしら?多くの親は子供が
どんな反応を示すのか、とても気になることでしょう。かく言う私もそのひとり。

わくわくしながら手渡して、笑顔が見られる!と思う間もなく、表紙を一瞥した
だけでポイっとやられる、カバーをはがして知らん顔。すみっこかじって、ハイ
おしまい、飛び出す絵本なんて飛び出す部分をちぎっちゃう(笑)

・・・このように思ったよりも子供の反応が悪かった経験、誰にでもあると思い
ます。でもこれ、とても素直な反応だと思いませんか?もし子供が買ってきた本
すべてに「うわぁ、おもしろい!」なんて言ったら、それほど気持ちの悪いこと
はありません。

子供が自分の思い描いたような反応を示すこと、子供の成長に自分が期待したよ
うな効果が見られること、これにYES/NO で答えることほど、意味のないことは
ありません。

“絵本の効果を期待する”そんな場合があってもちろん良いと思います。色がわ
かるようになる、指差しできるようになる、もう少し大きな子だと、気持ちがわ
かるようになるなど、絵本を与えることによって子供が成長する場面に出会う感
動は、とても大きなものですものね。

だからこそ、選んだ絵本が成功したか失敗したか、そんなものさしは、この際、
捨ててしまいませんか?子供の反応に一喜一憂するのをやめてみませんか?


○いいと思ったら買ってみよう --------------------------------------------

            あなたのお気に入りを探そう

          --------------------------------

  ▼話が長くなったので、今までのお話しを整理してみます。

   1、子供(赤ちゃん)が理解できる範囲を決め付けない
     一般論や概念でなく、目の前の子供(赤ちゃん)を信じてみよう!

   2、書評や人の意見(噂)を気にしない
     人ではなく自分の直感や気持ちを大切にしよう。

   3、最良のものを与えることにこだわらない
     大人が思う最良が、子供にとっての最良とは限りません。

   4、子供の反応で一喜一憂しない
     子供だけの個性(好み)もあります。喜ばないことを恐れずに!

          --------------------------------

さぁ、ここまで準備ができたら、最後のステップは「あなたのお気に入り」の一
冊を探すことです。もちろん子供に与えるために選ぶのですが、「文字がたくさ
んあるから無理」とか「感情の機微が汲み取れないと意味がないのでは?」など
と考え過ぎないようにしてみませんか。

大切なのは、「自分がその絵本をなぜ選んだか説明できること」。例えば、私の
場合、絵本を選ぶ基準はこんな感じです。

  <絵本を選んだ理由〜私の場合>
  キャラクターがたまらなく好き、色合いが絶妙、描写が素敵、
  町の様子が良く描けている、子供の頃に好きだった、子供の頃には
  怖くてたまらなかった、とても好きなワンシーンがある、などなど。

どうして自分がその絵本を選んだか、きちんと説明できればいいと思うのです。


○一緒に読む------------------------------------------------------------

         一緒に、声に出して読んでみましょう。

ここまで絵本をどう選ぶかを中心にお話ししましたが、その絵本を活かす一番の
ポイントは「一緒に読む」こと、そして、なぜその絵本を選んだか、子どもに
「選んだ理由を伝える努力をする」ことの2つだと私は思っています。

まず絵本を手にとって、子供を膝に乗せて、表紙の題名から読んでみてください。
次に著者の名前も読み上げて、それから一緒に絵本の世界に入るのです。

例えばあなたが、その絵本の桜が散る情景にとても心ひかれているとします。そ
の素晴らしさを伝えるために、絵本に描かれている様子にとどまらず、桜が咲く
姿がどんなに美しいか、桜が咲くとどんな気持ちになるか、桜のまわりの景色は
どう変化したかなど、あなたの想像力を働かせて、そのとき思いついたことを話
してみるのはどうでしょう。

また、あなたがどうして桜が散る情景に強く惹かれたかを、子どもとと話してみ
るのもいいかもしれません。私の場合は、これに加えて、子供と一緒に、桜の咲
く様子や散る様子をまねて楽しんだりもしています。

ただ、あなたと同じように、子どももその情景が好きであるかどうかはわかりま
せん。でも少なくともあなたが好きだと思うなら、思う気持ちを伝える努力をし
てみませんか?

絵本の内容が気に入っても気に入らなくても、子供は、きっと自分とコミュニケー
ションをとろうとしているあなたのことを、もっともっと好きになるはずです。
あなたが子供を理解しようと思うように、子供からあなたを理解しようと歩みよっ
てくるのではないでしょうか。


○今回のお話を5つのステップとしてまとめてみました ----------------------

【絵本の5つのステップ】

  1、子供(赤ちゃん)が理解できる範囲を決め付けない
     一般論や概念でなく、目の前の子供(赤ちゃん)を信じよう!
  
  2、書評や人の意見(噂)を気にしない
     人ではなく自分の直感や気持ちを大切にしよう。

  3、最良のものを与えることにこだわらない
     大人が思う最良が子供にとっての最良とは限らない。

  4、子供の反応で一喜一憂しない
     子供にだって個性がある。喜ばないことを恐れずに!

  5、子供と一緒に読んでみよう
     親と子がお互いを理解し、好きになるために。


○きたゆから☆おすすめ絵本の紹介です -----------------------------------

  ∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵
  「しろくまちゃんのほっとけーき」 著者 わかやま けん
                                    こぐま社(\ 800 税抜き)
  ∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵

 娘(2歳)はこの本が大好き。私はしろくまちゃんがほっとけーきの粉を
 混ぜるところで、いっぱい散らばしちゃうとこが好きなのだけど、娘は、
 材料の卵を落として割っちゃうとこがたまらなく好き。

 最初に卵が割れる絵を見たとき、娘は「あっ・・・!」と言ったまま本当
 にまるまる1分は固まりました。そして「割れちゃった…」とつぶやいた
 のです。その後しばらく「卵割れちゃったねー」と話していました。

 後日、私と娘は本当に卵を割ってみました。絵本のように床に落として。
 娘は今でも卵を持ちたがりますが、決して落としはしないのです。

                              text by Kitayu
----------------------------------------------------------------------○



HOMEにもどる      TOPにもどる



 
◎ワハハ・ライブラリー<きたゆから☆おすすめ絵本の紹介> 2001/4/15 UP

 


  ∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵ 
    「かいじゅうたちのいるところ」   冨山書房 \ 1400(税抜き)

   著者 モーリス・センダック    訳 じんぐう てるお
  ∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵ 

  出てくるかいじゅう達のなんとリアルなことといったら・・・!
 7匹出てくるかいじゅうのうち、一匹は日本でいう「なまはげ」そっくり。
 もう一匹はなまけものをおかっぱにしたような風貌です。
 
 このおかっぱちゃん、娘は「へーほー(?)」と名づけた様子。 
  なんで「へーほー」なんだろう・・・。(皆さん発音してみてください。
  とっても発音し難いから。)でもそれほど親しみを込めているのでしょうね。

 さて、どういうわけか、こんな姿のかいじゅうを、娘はとっても好きみたい。
  主人公マックスでなく、かいじゅう一匹一匹になりたがり、一緒に木にぶら
 下がっては(私が娘をつり下げます)みんなでぶらさがり遊びを楽しみます。

  他にも「かいじゅう踊り」や「飛び跳ね遊び」などいろいろしますが、
 かいじゅう達と一緒に遊ぶ姿は、楽しいというよりなんだかとっても嬉しそう。
  私達が気の合う仲間とワイワイやるのと、まったく同じ表情をしています。。。
  
  私が本書をいいと思うのは、かいじゅうとマックス少年が遊ぶシーンに一切
  言葉が添えられていないところ。言葉がないおかげで読み手は自由な気分が
 味わえ、かいじゅうと遊ぶこと、その一点に集中できるのです。
  
  主人公はこの物語を読み聞かせてあげる そう、皆さんの子ども達。
  「かいじゅうたちのいるところ」へ向かって航海し、ジャングルで遊び、
  かいじゅう達を従えて、思う存分好奇心を満たしてあげてはいかがでしょう。

----------------------   
 ★おすすめスポット☆
----------------------
 お台場「メディアージュhttp://www.mediage.co.jp/index2.html」では、
  なんとこの物語「Wild Things」(原題)のアトラクションがあります。
  バーチャル(幻想)な世界の生き物がリアル(現実)になった娘は、
  そこで初めて「かいじゅう恐いねぇ」と漏らしました。
  詳細はこちら→ http://www.mediage.co.jp/attraction/index.html

                            text by Kitayu
----------------------------------------------------------------------○

HOMEにもどる      TOPにもどる


 
◎ワハハ・ライブラリー<きたゆから☆おすすめ絵本の紹介> 2001/5/15 UP

 


古本屋「book off」で、ワゴンの中に投げ入れてあった本でした。50円で買った
と記憶しています。私にとっては、まさしく出会った一冊です。

  ∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵
     「ものものずかん」     著者  土橋とし子

    「年少版・こどものとも」 通巻226号 福音館書店(\ 743 税抜)
  ∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵
                                    ※発売当初は、なんと320円。

この絵本は、すばらしい!何がってもう、絵のセンスがマネできない。一般的に
「幼児向け」と称される絵の類ではないのです。そして図鑑の域を越えている!!

題名通り日常にある物の「図鑑」なのですが、11のアイテムから成っています。

 - くつ   - コップ  - 服   - 下着   - カバン
 - 傘    - 楽器   - 椅子  - 帽子   - めがね
 - 家族のお気に入りアイテム

これらアイテムにつき、絵本見開き2ページを使って「イラスト」で物の紹介を
しているのですが、この絵本のもうひとつの特徴は家族が登場するところ。家族
構成はこのようになっています。

   - おとうさん    - おかあさん   
   - わたし      - おとうと    - おにいちゃん
   - おじいちゃん(おとうさんのおとうさん)
   - おばあちゃん(おとうさんのおかあさん)
   - おばさん(おとうさんのいもうと)

娘のお気に入りは、めがねとカバンのページ。私のお気に入りは、楽器と家族の
お気に入りアイテムのページ。

例えば<楽器>のページには、へんちくりんな、総勢以下のアイテムが登場しま
す。( )内は図鑑のイラストの特徴です。

・おとうとの(犬の顔のついた)ガラガラ、
・おかあさんの(エジプト猫がモチーフの)オカリナ、
・おにいちゃんのおじいちゃんにもらった(東海楽器の)ハーモニカ、
・おばあちゃんのアフリカで買ってきた(民族楽器の)たいこ、
・おとうさんの(茶色の地味な)ウクレレ、
・わたしのカエルの(顔の)カスタネット、
・おばさんの(鮮やかなブルーの花柄の)マラカス、
・おじいちゃんの(竹でできた)しゃくはち・・・

きっとこれ、家族がそれぞれ大切にしているものだと思うのですが、うま〜く「
個性」をあらわしていると思いませんか?

もうひとページ行ってみましょう。<椅子>のページは、こんな様子。

・おとうとの(亀型!)のおふろようのいす、
・おかあさんの(緑の背もたれにショッキングピンクのクッション!?)ソファー
・おにいちゃんの(赤い、メディカル嗜好の)バランスチェア
・おばあちゃんの(そのキャラに似合わない実に地味な)ざいす、
・おとうさんの(派手なイエローの)おりたたみいす(デッキチェア)、
・わたしのおとうさんがつくってくれた(奇妙なデザインの)いす、
・おばさんの(椅子の足がなんと首長族)アフリカのいす
・おじいちゃんの(英国風の)ロッキングチェア

「おじいちゃん」は竹製の尺八吹いてるくせに、お気に入りの椅子は英国風、お
気に入りの服はイギリス製のベスト。だけど下着は、ふんどしで、好きな酒は日
本酒、足元は下駄のくせに、帽子と眼鏡と鞄は英国風なんです。極めつけの煙草
はパイプ煙草(笑)。

家族それぞれがとても個性的で、人物像がしっかり描けています。さらにこの図
鑑、家族の絆も読み取れます。「おとうさん」は「わたし」に椅子を作ってくれ
たし、「おかあさん」は「おとうと」に、お手製リュックをプレゼントしている
し、「おにいちゃん」は「おじいちゃん」からハーモニカをゆずり受けています。

モノから人物を想像させ、その人物の個性を際立たせていく。同時に同じ屋根の
下に住む家族の一体感、絆をきちんと読み手に感じさせる、秀逸な絵本。図鑑と
呼ぶには余りある、内容の詰まった一冊です。

改めて家族は個性の集まりなんだと感じさせてくれました。お子さんとご一緒
に「家族」を実感してみてはいかがでしょうか。


☆中のイラストまでお見せできないのが残念。手にとってご覧いただけたらと願っ
 てやみません!

                            text by きたゆ
----------------------------------------------------------------------○



この本を買う!
       HOMEにもどる      TOPにもどる


 
◎ワハハ・ライブラリー<きたゆから☆おすすめ絵本の紹介> 2001/6/15 UP

 


   ∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵ 
           「ちのはなし」        文と絵  堀内誠一  

                         「かがくのとも傑作集」
                       福音館書店(\ 780 税込み)
   ∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵ 

「goの誰でもわかる解剖生理学」に続いて、ちょっと『生理学』っぽい絵本です
が、今日の絵本はこれです、ち(血)のはなし。いきなり「いたい!」から始ま
るこの絵本、挿絵もそのまま転んでひざから血を流している男の子の様子から始
まります。

科学絵本だけあって、どうして血がでるのか、血管はどんな風に血を運ぶのか、
血を送るしくみ、血が流れている証拠を得るには…など実験も交えて話しは進み
ますが、印象深いのはこのページ。

            <血が出るのは、血の通っている管が破けるからだ>
         <体の小さい子供は、体の大きい大人よりも、血が少ない>

これは挿絵の効果によりますが、前者の<血の通ってる管の破け方>、これ本当
に、象の鼻のように厚みのある管が破けて血がどくどく流れ出ている絵があって、
子供心に恐ろしくなったものです。「ああ、私の血がこんなに減って無くなって
しまう(=死ですね)!」ってね(笑)。

そこへ追いかけるように、後者の<子供(=自分)の体は血が少ない>と来たも
ので、「こんなにどくどく血が流れたら、子供の私はアッという間に死んでしま
う!」と、更に恐怖心を煽ったものでした。

そう。この絵本、随分前からあるんです。1978年に改定版の第1版とありますか
ら、読んだのは私が小学生の頃でしょうか。描かれる心臓の絵が「ハート」の形
をしていることから、2歳の娘は幸せな気持ちになるようです。

      「パパも、ママも、葉月も、ハッピー(ハートのこと)あるねぇ」
            「ここ(胸を触って)に、ハッピーあるねぇ」って。

娘がハートをハッピーと呼ぶからなおさらでしょうが、赤ちゃんでも子供でも、
大人でも動物でも、生きるものすべてが、生まれた時から自分の体内に幸せを宿
しているんだ、と思えた一瞬でした。自分の理解とは、まったく違う角度からボー
ルを投げられる、子供との絵本読みは、新しい冒険の幕開けにも匹敵する素晴ら
しい経験を私にも与えてくれるのです。
                             text by きたゆ
------------------------------------------------------------------------○



この本を買う!
       HOMEにもどる      TOPにもどる


 
◎ワハハ・ライブラリー<きたゆから☆おすすめ絵本の紹介> 2001/7/15 UP

 



   ∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵
 
                       フレネ学校 「愛について」

               フレネ学校の子供たち・作 武者小路実昭・訳
                     あすなろ書房 (\1400 税抜き)

  ∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵ 

  「学校の主役はこども。興味をもってのびのび学べる、こども中心の学校」
      「テストをクリアするためでなく、学習と生活を結びつけるには」


みなさん、フレネ学校って知っていますか?南フランスにある小さな学校です。
このフレネ学校は、今から66年前の1935年、当時公立学校の教師だったセレスタ
ン・フレネ(1896〜1966)が設立した実験校で、フリースクールのハシリです。
大人が一方的に知識を詰め込むようなそれまでの教育に疑問をもったフレネは、
「子供の表現の自由から出発する」こども中心の学校を作ろうとしたのです。

このフレネ学校、設立当初は異端児扱いでしたが、今では世界26ヶ国に広がって
います。すごい事は、このフランス本校がフランス唯一の国立学校として認めら
れたこと。フレネ教育は病める学校教育の現在で、また脚光を浴びつつあります。
                              
フレネの生徒たちだけで作った本が、この「愛について」。なんと6歳から9歳ま
での生徒が「愛」について自分の考えを出しあい、リーズという11歳の女の子が、
清書しています。文中でみんなの言葉にコメントをしているのも、先生ではなく
このリーズです。(きたゆは最後まで先生だと思っていたのですが!)学校では、
毎日生徒たちの作文と話しあいの時間があり(先生は毎日聞いています)、「愛
について」は、生徒たちの話し合いの時間から生まれました。

                               ・・・・・

  「大好きな両親よりも、もっと好きな人が、どうして、できるんだろう?」

冒頭でこう呼びかける本書は、「愛」についてのこの素朴な疑問から始まります。
そしてすべてのページが、こどもたちの発言だけで成り立っているのです。

    ※ 「わたしにとって愛というのは、誰かがそばにいてくれることだ。
         そばにいてくれる人に親切にしてあげて、花を買ってあげることだ」
    ※ 「でも、ずっといつも親切にするのはむりでしょ!」
    ※ 「それはむりだけど。私はとにかく、そのひとを喜ばせてあげたいの」

    ∞ 「愛しあっているときは、その愛をあらわすために、からだをやさしく
         なであったりする」
    ∞ 「あらわすってどういうこと?」
    ∞ 「それはね、本当に愛しているってことを見せること。愛には、そんな
         ちょっとしたことが、とてもだいじなの」

                               ・・・・・

これがホントに6歳児から9歳児の話し合いとは思えない!夫に読んでもらうと日
本では中学生向けの教材になる、という感想が飛び出しました。

「道を歩いている子を連れてきても、すぐこんな風に話すことができるわけがあ
りません」と、フレネ学校の先生が言う通り、こどもたちが自由に、他人の意見
をけなさず、自分の意見を恥じずに発言できるのは、フレネ教育があってこそ。
こどもたちが出し合う問題や疑問などを出発点とした教科を学び、討論し、自分
の考えや意見まとめ発言すること、絵画、音楽、ダンス、工作などの創作活動を
すること、こどもと一緒に親も教師も学ぶこと。フレネ教育で主軸となっている
こんな授業風景は、サバイバル力を身につける為の必須科目かもしれません。

ワハハMLでもフリースクールが話題になっていますが、こういう本を目の当た
りにすると、う〜〜んと考えさせられます。自由だけど、好き勝手とは違う。そ
こには守るべきルールがある。守らされるのでなく、自ら守ろうとする意志がき
ちんと育っているのです。学校という小さな社会を自ら作り生活することが、大
人になり、大きな社会で生き抜く力になると信じさせるパワーがありました。

本書イラストも生徒が描いています。感性が高く色彩豊かなのにも驚かされます。

☆ この本は、ワハハのトップページ「ワハハ・ライブラリー」からもクリック
   ひとつで購入できます。☆.。.:*・゜

                            text by kitayu
-------------------------------------------------------------------------○



この本を買う!
       HOMEにもどる      TOPにもどる


 
◎ワハハ・ライブラリー<きたゆから☆おすすめ絵本の紹介> 2001/8/15 UP

 

   
 ∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵
                        「ぞうのさんすう」

              ヘルメ・ハイネ 作  いとうひろし 訳  
               あすなろ書房 (\1000 税抜き)
  ∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵ 

今日皆さんにご紹介するのはヘルメ・ハイネの処女作である「ぞうのさんすう」。
象がその人生を生きるうちに、身をもって『ゼロ=死』を知る、そしてそれを受
け入れる、そんな淡々としたお話しです。

このお話しの主人公は一匹の象。それも始まりはまだほんの小象です。
くいしんぼうの小象は食べることが大好きで、朝から晩まで葉っぱや草をおなか
がいっぱいになるまで食べています。眠りながらも山のような干草を食べる夢を
見る小象−ふふふ、なんだかわたし達の子供と一緒です。

物語はこの小象の、ひとつのまんまるのウンチからスタートします。このひとつ
目のウンチが、象にさんすうを考えさせるきっかけになるのですね。

この小象が、歳を重ねるということ、重ねる毎に減る人生の時間というもの、そ
していつかなくなる(ゼロになる)命のことを、喜びいっぱいに、そしてあの大
きな体さながらにゆったりと学んでいく姿は、多くのことを効率良く吸収しよう
といささか加熱気味だった私を「ヒートダウン」してくれました。

さて、象はやがて死に行きますが、『ゼロ』を学んだかつての小象は、一体どん
な気持ちで『ゼロ』の瞬間を迎えたのでしょうか?

象はこうして死に場へと歩き出しますが、この物語を読んで、私は持てる金をす
べて使い果たしてもなお、自分のペースで最後まで歩きつづけた祖父の姿を思い
ました。残った時間を卑下することなく「使い切る」。「生き切った」とも言え
る祖父の姿は、悲しみでなく私に不思議と希望を残してくれたのです。

さんすうの概念では収まらない、大人にもぜひ読んで欲しい1冊です。
 この本をbk1で買う     この本をアマゾンで買う! 


HOMEにもどる      TOPにもどる


 
◎ワハハ・ライブラリー<きたゆから☆おすすめ絵本の紹介> 2001/9/15 UP

 

   
 
 ∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵
            「くまさん くまさん なにみてるの?」

        エリック=カール 絵  ビル=マーチン 文  
              偕成社 (\1000 税抜き)
  ∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵ 

みなさんエリック=カールといって思い浮かべるのは、なんの絵本ですか?はら
ぺこあおむし、という声が聞こえてきそうですが、今日はこの本、「くまさん 
くまさん なにみてるの?」です。

題名通りくまが四つんばいになっているこの表紙、ぱっと見たところは茶色の地
味な色彩です。今まで手に取ってみようと思ったこともなく、別段気にもとめな
い絵本でしたが、実家の母が娘と読み合っていたと知ったのは、実はつい先日の
こと。

「くまさん、くまさん、なにみてるの?」という母の読みかけに「とりさん!」
と答える娘。「とりさんはなに色?」の問いに、「えとねー、赤いの」とうれし
そうに言う娘。知っている動物、知っている色が次から次と出てくることで、ぐ
んぐんお話しに引き込まれているのがわかります。その様子を見ながら、幼いこ
ろに絵本を読んでもらっていたあの頃を、ぼんやり思い出しました。温かく、確
かな実感として残っているあの時を。

初めてこの本を開いたとき、「これだ!」と感じたほどの、この色の美しさ。
「お母さんはなにをみてるの?」の問いに絵に描かれた「おともだち」でなく
「葉月!」(娘の名前)と答えてくれたときあの感動。美しい絵本に娘は生命を
吹き込んでくれたのです。

ところで、絵本の中で必ず私がチェックするのは、中表紙。こちらも必見、エリ
ック=カールはただものではありません!

☆この本は、ワハハのトップページ「ワハハ・ライブラリー」からもクリック
 ひとつで購入できます。☆.。.:*・゜
              
                            text by kitayu
----------------------------------------------------------------------○
 この本をbk1で買う!  この本をアマゾンで買う! 
            


HOMEにもどる      TOPにもどる

 

当ページに関するご意見・ご感想は、<wahaha@chieichiba.net>まで

Copyright 2000-2001, Kuri of 子育てワハハ
All rights reserved