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波照間(はてるま)島で過ごした夏休み編 |
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波照間(はてるま)島で過ごした夏休み編 ◆第1話「ほんとうの青い海がみたい」 |
■これがほんとのコバルトブルーの海 ------------------------------------------------------------------------ テレビや写真ではわからない、感じられない「ほんもの」が見たい、触れたい。 旅に出るときはいつもそう。子どもが生まれてからは、特に強く感じるようにな りました。 波照間島は以前に何度か訪れたこともあり、なじみの民宿もあるし、なんたって、 あの光り輝く青い海が、これこそ「海は青いな、広いな、大きな」って教えてく れる島なんです。2歳前の娘が、どのように受け取るのか、その反応も楽しみに、 夏休みを島で過ごすことにしました。 ▼どこまでも広がる海をふたり占め |
波照間(はてるま)島で過ごした夏休み編 ◆第2話「出会いが旅をほんものにしてくれる」 |
■レオト君とのであい ------------------------------------------------------------------------ 台風が近づいているという風の強い日の午後、早めに海から上がって、海岸沿い のあずまやで帰り支度をしていると、A型ベビーカーの横に子どもを寝かせて、 着替えをさせているおかあさんがいました。ベビーカーに乗るには大きなお子さ んだなと思ったのですが、ベビーカーを砂浜にめり込ませながら、立ち去ろうと したので、「一緒に帰りませんか?」と声をかけました。 島には8軒の民宿がありますが、どこも島の中央部にあるので、海岸からだと坂 道を登って20分以上かかります。私たちは宿の軽トラを借りていたので、荷台に ベビーカーごと乗せて、彼女の民宿まで行くことになりました。 レオト君は5歳、歩くことやお話することができないハンディキャプを持ってい ました。しかも名古屋からおかあさんとの二人旅。民宿の部屋には、酸素のボ ンベや大きな荷物がズラリ。でもおかあさんはいたって元気で、あっけらかんと してて、「私シュノーケリングもしようと思って、持って来たんですよ」なんて、 大量の荷物の中から足ヒレや水中めがねを見せてくれました。 ▼レオト君とおかあさん |
◆旅の思い出と心の記憶 |
■ 旅の記憶が芽生える頃 ------------------------------------------------------------------------ 2月になり、テレビの天気予報などで、雪景色が映るたびに、「雪へ行きたい」 (注釈:雪のある所へ行って、遊びたい)と3歳半になる娘が、しきりに言うよ うになりました。 うちは夫婦とも、学生時代より熱気球をやっている所以で、子どもたちは、首が 据わるや、あちこちの気球大会に参加。そして親である私たちの気の向くまま、 日本最南端の波照間島から極寒の北海道と旅してきました。 そして今回は、娘から「旅へ行きたい」と言われたのです。これはちょっと感動 モノでした。子どもから旅の誘いを受けるなんて…。 というわけで、ちょうど2月末に、新潟県小千谷で開催された気球大会&雪原ま つりへ参加。「行きたい」という思いが生まれ、「実際に行く」、そして楽しか った「思い出話ができる」。3歳を過ぎて、そういう旅の記憶回路が芽生えてき たような気がします。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――― ■言葉にならない記憶もある ------------------------------------------------------------------------ うちにある室内用のジャングルジムは、その上にタオルケットを被せて、今や立 派なテントとなっています。昨年夏に1週間、世界遺産・白神山地(秋田・青森 県)でキャンプしたのが、娘には、かなり心に残っているのか、すっかりこれが 「マイ・テント」なのです。中には大切なものを置いたり、なんと狭いジャング ルジムの中で寝てしまったり。 子どもは、胎内にいた頃のことも覚えている、と聞きますが、いったい子どもの 記憶って、どうなっているんでしょうか。 子どもが自分の言葉で表すことができてはじめて、親である私たちは、「記憶に 残っているんだな」と感じます。けれど、言葉に表す前の出来事も、きっと子ど もの頭の中にはインプットされて、直接思い出さないのかもしれないけれど、何 らかの形で残っているに違いない、と思うのです。 ふと、「なんだかこの風景知っている」とか「なんだか落ち着く空間だな」って、 思うことあるでしょ?それって、幼い頃の、何らかの記憶と結びついているんじ ゃないかな…なんて。 そして、そういう言葉にならない旅の記憶の積み重ねがあるからこそ、言葉で表 現できる段階になって、「行きたい」気持ちが生まれてくるのでは、なんて勝手 に推測しています。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――― ■遺伝子、もしくは環境のなせる技? ------------------------------------------------------------------------ 自分を振り返ってみると、鮮明に覚えているいくつかの旅の記憶があります。 その中でもいちばん心に残っているのは、小学校の頃。このときは福岡に住んで いたのですが、夏休みに大阪の母方の実家へ帰るとき、母と妹と3人で、新幹線 や飛行機を使わず、山陰本線経由で10時間以上かけて、列車で旅をしました。 途中下車して、「ホームに手形を残すぞ」と手のひらをプラットホームに押し付 けたときのひんやり感、駅弁の蓋を開けたときの、ごはんのにおい…今でもしっ かり覚えています。 そんな母の影響か、その後すっかり列車好きになり、乗り物好きが高じて、気球 乗りにもなってしまったのかも。 これは遺伝子なのか、旅の記憶、もしくはそういう環境を私に設定してくれた親 の影響なのか…。そして今、親となった自分も、同じようなことをしているので した。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――― ■毎日の暮らしの中で旅は続く ------------------------------------------------------------------------ 「子どもの頃に見た風景がずっと心の中に残ることがある。いつか大人になり、 さまざまな人生の岐路に立った時、人の言葉でなく、いつか見た風景に励まされ たり勇気を与えられたりすることがきっとあるような気がする」 (『旅をする木』 星野道夫著より) もちろんこれは、旅だけでなく、毎日の生活の中でも、同じことが言えるんじゃ ないかな…。桜吹雪を追いかけてみたり、街路樹の若葉の芽吹くにおい、公園の 池で見つけた、かえるのたまごのにゅるにゅる感。 五感で感じたことは、決して忘れることなく、心に残り、なにかのきっかけで、 ふと思い出したり、和んだり…。そしてきっとそこから想像力が生まれ、それは、 人の気持ちや人の痛みを感じることができる心にも、つながっていくんだと思い ます。 だからまだ記憶を言葉にできない、1歳4ヶ月の下の娘にだって、ちゃんと一人の 人間として接し、ほんものを感じてほしい。 さてゴールデンウィーク、日常を抜け出したそのとき、いつもとは違う子どもた ちの姿、そこに新しい発見があるかも…。もちろん、そういう子どもたちの成長 を、ちゃんと感じることができる自分でありたい。あなたにとって、今回の旅は、 どんな気づきがあるでしょうか…?ぜひワハハにも体験を寄せてくださいね。 text by yako ----------------------------------------------------------------------○ |
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